(アレあるかな)


自動ドアを抜けて真っしぐらに冷凍ケースへと歩む。
目的の物を買ってどうする!?と思うが、何だか口の中がスッキリしなくて。


(あ…あった)


今直ぐ買って食べたい…と思う衝動に駆られる。
いきなりコレを買って食べると言ったら、坂巻さんにドン引きされそうな気もするんだけど。


(最後に食べたチーズケーキが、口の中に残ってる感じで嫌なんだよね)


コレを食べたらきっとスッキリ出来ると思う。
他のでもいいけど、今はコレが一番口にしたい。



「うーん」


冷凍ケースの中を見たまま唸る。
こういう場合、一人じゃないというのが一番のネックだ。


「…何?アイスクリームでも買う?」


背後から急に声がしてビクつく。
振り返ると、にこやかな笑顔の坂巻さんがいた。


「何買うつもり?……あ、俺、これ食べようかな」


私が悩んでいるのも知らず、彼はさっと手を入れた。
そして、私が買おうかどうしようかと迷っている物を手にして、「旨いんだよね」と言って見せた。


「…わ、私も!」