「諸住さん、あれでお腹いっぱいになったのか?」


店を出てから気にする坂巻さんを見上げ、こくっと首を項垂れた。


「そうか…」


ならいいいんだ…と坂巻さんは疑いもせずに信じ、「俺なんてまだ足りないくらいだけどな」と囁いて笑う。

そんな彼と二人で駅に向いて歩き始め、何について話をするべきなのか…と頭を悩ませていた。


(こういう時って何について話せばいいの!?)


オムライス屋でも何について話したのかよく覚えてない。
声をかけられる度にドキッとして、二言三言返事をしただけで過ぎたから。


(それよりも、こういう現場を誰かに見られたら…)


そう思うと気が気でない。
とにかく早く駅に着きたくて、足早に歩を進めたくなる。


「……ねぇ、ちょっと彼処へ寄ってもいいかな」


遠慮がちに彼が指を差す方向にコンビニが見える。食事の時にはタバコも吸えなかったし、きっと一服したいんだ。


「どうぞ、いいですよ」


私の返事に坂巻さんはニッと笑い、スタスタとコンビニに向かって進む。

私はその彼の後ろを追いかけ、店先で止まる彼とは別れて入店した。