後になって考えたところで結果は変わる訳がないんだと思いつつも、それでもやはりなかなか忘れきれなくて。

坂巻さんとは二度と話すチャンスもないだろうなと思うから、余計に残念で仕様がなくて。

呟いた言葉を聞かれたのも偶然で、これから先はきっと無いに決まってるから悔しくもあり……。


だからと言って、自分から彼に話しかける勇気もない。
そもそも話しかけたところで、金曜日と同じ結末になることは目に見えている。

そう思うと落ち込む。
気づくと髪の毛の先を捻っていて、ぱっと離すと拳をそのまま膝の上に持っていく。

こういう感じでこれからもきっと日々を送り続けるんだ。憧れの人と話すチャンスにも恵まれず__。



(あーあ…)


遣る瀬無いと思いながらも仕事を始めた。

午前中は外回りにも出ない彼の周りを、いつも数人の女子が取り囲んでる様な気がした。



昼休みになり、誰もいなくなった部署の中で一人、デスクにうつ伏せて目を閉じていた。

瞼の裏には、金曜日に辿々しい会話をした彼のことが残っていて、また話したいな…と思っていた。