憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!

店に入った私達は偶然同じ物を注文して席に着いた。


「気が合うね。二人してアイスミントティーを注文するなんて」


ニコッと笑う坂巻さんに何と返事をするべきか。


「…はい…まあ…」


ごくっと口の中に入れていたものを飲み込んで答える。
愛想がないと思われても、こういう状況でいることがまだ信じられずに戸惑う。


「俺、夏になるとやたらとミント系のものが欲しくなるんだよね。スーッとしたいって言うか、スッキリしたものを口にしたくて」


目線を上げて見ると、彼はミントティーをゴクゴクと飲み干している。


「こうやって一気に飲み干して爽快になりたいんだ」


ハハハ…と笑いながら、君は?と訊かれた。
私はチビチビと飲んでたストローを口から離し、え…あの…と躊躇った。


(私も似たような感じですって言えばいいのよ。真夏になると間違いなくアレも食べたくなるって)


そう思うけど声にはならない。
口ごもって話せなくて、最後はやっぱり俯いた。

こんなんじゃ折角誘われた意味がない。だけど、なかなか声も出なくて……。


(これ…何の苦行…?)