憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!

(まさか…見てた…?)


彼のいう言葉が信じられずに目をパタつかせた。
ポカンとする私のことに気づいた彼は、「飲み直そうか」と提案した。


「諸住さんはアルコールが飲めないみたいだから、そこら辺のカフェで」


指を差す方向にカフェチェーン店の看板が見える。
私はそれと彼の顔を交互に見遣り、返事も出来ずにぼうっとした。


(坂巻さんとお茶…?)


憧れの人とカフェでお茶するなんて夢だ。
これが現実だとしても、きっと悪夢に違いない。


(まさか夢でも見てるんじゃないよね?)


ぎゅっと右手で頰を抓って痛みを感じる。
間違いなく現実だと知る痛みを覚えながら、彼が向かうがままに従った。