その視線と向かい合うと急に緊張が走って、喉にカレーを詰まらせそうになりながら、「はい」と短く返事した。


「此処を出たらどうしようか。明日も仕事だし、あんまりゆっくりも出来ないしな」


私がアルコールを飲めれば、一杯だけでも飲みに行く?と誘いたいみたいだ。だけど、一杯飲むだけでも精一杯なものだから、彼もそれは言えない様子で__。


「俺の部屋に来る?…なんて、流石にそれはまだ早いか」


別に何もしないんだけどな…と残念そうに囁くものだから、カレーを掬うのも忘れてしまい、呆然と彼を見つめた。

カレーの辛さではなく、別の意味で顔の温度が上がり始め、パタパタと手で振り扇いだ。


「本当に杏は冗談が通じないな」


可笑しそうに笑う彼とは違い、恋愛に慣れてない私は、こんな事でも胸がドキドキと鳴りだして苦しくて堪らない。

言葉も上手く返せずに無言になり、向けてた目線もさり気なく下ろした。


「…あ、そう言えばさ、あの後、彼女達の様子どうだった?