「…俺、何度も言ってしつこいと思うけど、君が好きだよ。…だから、君にももっと俺のことを深く知って欲しいし、俺ももっと、今日みたいな君を見てみたい。

あんな威勢のいい声も出せるんだね。
他にはどんな顔を持ってるんだ?それを全部、俺に見せてくれよ」


少し強引な感じで迫ると、彼女は唇をパクパクと震わせる。
それが初々しい感じに思えて、こっちまで顔が綻んだ。



「わ…私…」


呟く彼女は、小声で自分のことを貶しだした。


「こんな地味で背も小さいし、不器用だし、スタイルだって良くないし、クセ毛なのに…」


言わなくてもいいことまで言ったんだろう。
ハッとして口を閉ざし、「今のは忘れて下さい」と願う。


「えっ?何?クセ毛のこと?」


驚いて訊き返すと、しまった…という顔つきに変わる。
それを見てそうなんだ…と初めて知り、さらりと彼女の髪に触れてみた。


「クセ毛なんだ。そうか」


知らなかった…と呟くと、肩を竦めて恥ずかしがる。
そんな彼女の素顔にもっと触れたくなり、ウズウズと胸が騒いだ。