あの場にいたのは俺と同じ営業グループの連中だったし、チームワークが壊れてしまうよりかは課長一人が悪者になって、内部でのイザコザが起こらない様に配慮したつもりなんじゃないのかな」


営業成績に響いてもいけないしさ…と良いように解釈してやりながら、頭では許せねぇ…と思っている。

今度、課長には奢らせてやる…と決めながら、彼女の方を見直した。


彼女は呆然とした顔つきで、まあそれもそうですね…と理解を示す。

お陰でやっぱり課長にいいとこを全部持って行かれた様な気分がして、詰まらねぇ…とつい不貞腐れてしまった。

だけど。


「それはどうでもいいんだけど、さっきの話の続き。
俺と付き合ってくれるんだろ?
そのつもりで、あの言葉を言ったんだよな?」


せっつくと彼女はさっと顔を赤く染める。
言葉にされるよりも正直な態度で、俺は嬉しくなって近寄った。



「諸住さん」


彼女の後方にある壁に手を付き、フッと微笑みかけた。


壁と俺に挟まれた彼女は、目をクルクルと丸くしながら顔を凝視してる。
その様子が本当に堪らなく可愛くて、つい頬を掌で包んでしまった。