「……私、坂巻さんが好きです。
いつも皆と話してる貴方を見て、自分もいつかあんな風に話が出来たらいいなと憧れてきました。

話せたらもっと仲良くなれるのに…って。そしたらもっと、距離が近づくのに…って」


そう言うと恥ずかしさが蘇ってきたらしい。
急に黙り込んでしまい、照れくさそうに「はは…」と笑って誤魔化した。


「…それ、俺と付き合ってもいいってこと?」


返事を急かすように訊くと驚いて目を見開き、視線が合うと躊躇うような感じで目線を逸らされた。

少し複雑そうな表情に変わる彼女の頭の中では、どうも先のことがいろいろと不安みたいで……。


「大丈夫だよ。彼女達のことなら、きっと課長が上手い具合に窘めてる筈だよ」


思考を先回りするとびっくりした表情で振り仰ぐ。
俺はそんな彼女に微笑みかけ、さっきのことを思い返した。


「…さっき、本当は俺が飛び出していって、君を助けてやりたかったんだ。だけど、課長に止められて動けなかった。

最初は呆れて、何でだよとムッとした。
でも、あそこで俺が出て行けば、きっと後からいろいろと気まずくなると思ったんじゃないのかな。