俺は数人から問い質されてる彼女が心配でハラハラしているのに、課長は涼しい顔で下を見つめ、「女性は怖いなぁ」と呟いてる。



「小山さん」


悪趣味ですよ…と言いたくなり、とにかく早く下ろさせてくれ、と願いたくなった。

そのうち、女子達が彼女を馬鹿する様なことを言い出し、俺は流石に我慢出来ないとムカついた。

だが…。



「笑わないで下さいっ!」


いきなり大きな声が響いて、課長と再び目を見合わせる。
二人して彼女の声か?と驚き、呆然と足元の様子を見直した。


声を震わせながら言い返すのが聞こえ、覗き込む小山課長の口元が「へぇー」と感心している。


「小山さん、そろそろ助け舟を」


俺が側から声をかけると、彼は俺に振り向き、「もう少し待て」と言ってくる。


俺は苛立って唇を噛んだ。
中学時代の同期生から「あんこ」と呼ばれてた彼女のことが心配で、守ってやりたくて仕方なかった。


だけど、彼女は必死になって言い返してるみたいだ。

過去に出来なかったことを今取り返してるみたいで、怒りながらも自分の気持ちを口にして、そしてついにはこう怒鳴った。