それだけは絶対に嫌だ。
そんなことはもう二度と見たくもないし、聞きたくもない__。


ぐっと唇を噛んで手を握った。
トラウマに勝つには今しかない。 


「坂巻さんを侮辱しないで下さい!彼が私を誘ったからと言って、やっかむのは止めて!」


反論しながら、あの手紙を送り付けられてきた日のことを思い出した。

私はこれまで何度となく、あの手紙の内容を反芻してきた。

その度に悔しくて悲しくて、忘れようとしたけど忘れられなくて思い返した。

本当はあの時も今と同じように、何をした!?と言って怒りたかった。

好きな人にラブレターを書いたことがそんなにいけないことなの!?と怒って、怒鳴り散らしたかった。



「何キレてるの」

「私達、貴女を怒らせるようなことでも言った?」

「別に主任を侮辱なんてしてないわよ。むしろ、貴女みたいな人に引っ掛かって欲しくないから、こうして注意をしてるだけ」

「彼から手を引いた方がいいんじゃないの?諸住さんもオフィスの女子達を敵に回したくはないでしょ?」

「今ならまだ何も言わないでおくよ?昨日のことも、まだ誰にも話してないし」