でも、昨夜のように彼から好きだと言われても、それに答えられるだけの勇気は私にはまだない。

だから、この人達に貶されても、何も言い返すことも出来ず……。



「何か言えば?」

「急に話せなくなっちゃったの?」

「主任ってば、やっぱり気の迷いでもあったのかな。こんな暗くて地味な子を花火大会に誘うなんて」

「案外と地味専とかってないよね?」

「バカね。坂巻さんがそんな悪いシュミ持ってるワケないでしょ」

「やっぱり気紛れよ。気紛れ」


アハハ…と最後の笑い声にカチンときた。
この間も同じ言葉を言われたけど、あの時と今は、若干捉え方が違う。


私を蔑みながら、この人達は坂巻さんも蔑んでる。
彼の見る目がないと暗に言ってるみたいで、私は悔しくて堪らない。


私のことを悪く言うのはまだ許せる。
自分でも地味だと思うし、坂巻さんが誉めてくれるほど可愛いとも思わない。

……だけど、彼の行動を馬鹿にしないで。
真摯に向き合ってくれる彼を侮辱なんかされたくない。