月曜日の朝、これまで以上に緊張しながら営業二課のドアを開けた。

部署内にはまだ数人の社員しか出社しておらず、その中に坂巻さんや彼と同じグループの女子達がいないことを確認して、ホッ…と息を吐く。


(何よ杏。トラウマに打ち勝つって決めたでしょ)


怖じ気つかない…と思いながらも、やっぱり不安は感じる。

花火大会で見つかった時、坂巻さんは同僚の女子達を「大人だから何もしてこない」と言ったけど、中学時代のことが頭にあるから、正直私は少し怖い。


(……でも、恐れてばかりいるのは止めるんだ。無視とかされても平気そうにしていればいい)


昨夜はあれから家まで送って貰い、理香子や円香にもラインで『トラウマに向かっていく』と宣言した。


二人は私の誓いを聞いて『待ってた』と理香子が言い、『泣かされたら一緒に闘おう!』と円香が励ましてくれた。


だから、もう変にビクビクするのはやめる。

先輩の都合のいいように仕事を押し付けられるのも考え直すし、何よりも彼に対する気持ちにちゃんと向き合っていくんだ。