不安そうに思いあぐねる傍から、夜空には大玉の花火が続々と上がっていく。

目の前では坂巻さんが私の方を向いていて、早く返事をして欲しそうな目をしてる。


(私……)


坂巻さんが私を見ていたと知って嬉しかったけど戸惑ってる。

いつも見ているだけの存在だと思ってた人が、自分にも注目していたと聞いて、軽いショックみたいなものを感じてる。


それを本当に真実だとは到底思えなくて。

もしかしたら、今此処にいることも全部、明日になったら消えてしまう幻なんじゃないかと思えてしまって__。



ぎゅっと握られる手の感触がして、現実だと思い知った。

坂巻さんに目を向けると彼の眼差しが私を捉えて、笑いかけもせずに真面目な顔つきでいるから答えなきゃ…という気持ちになった。



「私…坂巻さんのことは憧れてます…」


そう言うと目線をちゃんと彼に向け、気持ちを再確認する様に言葉を続けた。


「私にとって、坂巻さんは憧れなんです。
いつも皆の前で堂々していて、誰からも人気があって平等に優しくて。
仕事も出来て、成績も良くて、顔もいいからモテモテで……」