そう言うと、座ろうと腕を引いた。

彼女は躊躇いながらもブロックの上に戻り、顔を伏せたまま足元を見つめ、震えこそ止まったけれど、まだ不安気で__。



「諸住さん」


俺は精一杯の優しい声を出して呼んだ。

振り返る彼女がまだ怖がってる様に見え、ポン…と髪の毛に手を置いた。


「俺…君と、イイ仲になりたいんだけど」


そう言うとさぁっと顔を赤らめ、口元に手を持っていく。


「最初に君からそう言われた時は嬉しくてテンパりそうでさ。イイ仲って何だろうと思うと、少し卑猥な感じにも聞こえて、君はそんなにも経験豊富なのかな…と、少し期待もしてしまったんだけど」

「いえ、だから、あの……」


真っ赤な顔をしたまま掌を左右に振る。
その仕草を見てると笑い出しそうになり、「大丈夫。分かってる」と言い返した。


「君の様子を見てるとその逆かなって感じはしてる。
だから、これからそういう関係になりたいなと言ってるんだ」


近寄ると離れようとする彼女の肩を抱き寄せた。

「坂巻さん!」と声を跳ね上げる彼女の額に、コツンと自分の額をぶつけた。