そう言うと首を傾げる。

これは伏せておこうかと思ったが、彼女にばかり恥ずかしいことを話させるのも悪いと感じた。


「あの時、ミントティーを一気に飲んだろ。その前にビールも呷ってたし、腹が差し込んできて痛くてさ」


あーもう、情けねぇ。
好きな相手にこのみっともない話だけはしたくなかった。


「じゃ…あの時、行かなきゃいけなくなった場所って…」


察しの付いたらしい彼女が声を漏らし、俺は照れながら頷いた。


「あの後、君と別れて店内に逆戻りしたんだ。彼処で我慢しなくて正解だったよ。してたら大恥をかくところだった」


もう十分かいてるけどな。


「坂巻さん、いつも皆にお腹壊したってよく話してますよね。まさか、あれは…」

「真っ赤な嘘。女子に嫌われたいから平気であんな品の無いことを言ってたんだ。でも、まさか一番大事な時に本当になるなんてな」


最高に情けない話。
穴でも掘って潜り込みたい気分だ。


諸住さんはポカンとした顔で俺の方を見遣っていた。
花火は十分間の休憩に入り、それを機に周囲の人達が動き出した。