こっちは折角のチャンスを逃すもんかと後を追って、飲んでたもんだから足もモタついて、だらし無く息も上がっちゃってさ」


「す…」

「待った!それはもう聞いたよ」


彼女の唇に指を当てると、更に顔を真っ赤にして口籠る。
その表情がまた可愛くて、思わず彼女を抱き竦めそうになった。


誤魔化すように目線を上へ逸らせると、ハートや星の形をした花火が打ち上がっている。

彼女は自分も同じようにそれを見上げて「可愛い」と微笑み、俺はそんな彼女のことが、愛おしくさえ思えてきて……。




「諸住さん」


名前を呼ぶと目線がこっちへ向けられる。
戸惑うような表情に笑いかけると頬を引きつらせ、懸命に合わせようとするけど、返って緊張してくるみたいで__。


「……俺、君と初めて話して面白い子だなと思ったんだ。
どんな子かと色々想像していたけど、想像通りと言うか、そうじゃない部分もあって楽しかった。

…だけど、あのビヤガーデンの日はしまったよ。いつも女子に吐いてる嘘が本当になりかけて、慌ててたから君を駅まで送ってやれなくて」