「そうか…」


納得すると、坂巻さんはふわっと私の頭を抱え込んだ。
ドクッと胸が震えて、彼の腕の中にすっぽりと嵌ってる自分のことを振り返った。


「君は優しいんだな」


そう言いながら、仕様のない子供を抱き締めるようにぎゅっと力を込める。
頭は更に密着して、ドキドキと胸が鳴り出すやら恥ずかしくて。


「あの…」


腕を緩めて…と思いながら声を出すと、坂巻さんはボソリと言った。


「…俺、そんな君をいつも見てたよ。一人で残って仕事をしている姿を見ながら、いつも頑張るなと感心してたんだ。

いつかそんな君と話したいとずっと思ってた。だから、あのビヤガーデンの時には、チャンスがやっと来たと思って嬉しくなった」


腕を緩める彼のことを見上げ、キョトンとしてしまう。


(坂巻さんが私を見ていた……?)


嘘…という声を飲み込み、本当に?と訊き返した。


彼がふわっと優しい笑みを見せる。
それを見てると胸がいっぱいになり、何も考えられずに呆然とした__。