子供だった自分が起こしたことがキッカケで、クラスメートからシカトされ、しかも未だそのトラウマに囚われてるんだと言うべきなのか。


言ったらどんな顔をされるのか。
坂巻さんはそれを知ったら、私を笑ったりするのかな。

笑われたらやっぱり落ち込むな。
落ち込むのは嫌だし子供の時のこととは言え、恥は晒したくないかも__。


あれこれ迷ってから彼を見直した。
坂巻さんは空になった紙コップを握り、じっとこっちを見ていた。


改めて見ると本当に素敵な人だ。
少し心配そうな表情をしていて、その顔を見てたら胸がきゅっと苦しく感じた……。



「もう……忘れたいので……」


話したくないという言葉を言い放った。
坂巻さんは残念そうな目をして、ふぅ…と短い息を吐き出した。


「本当に信用ないな、俺…」


落ち込む様に俯いてしまう。
明らかに表情が雲り、私は息を飲んだ。


彼を落ち込ませるつもりなんて私にはなかった。
ただ、子供のやったことだし、今更話しても仕様がない…と思っただけ。