「仕方ないんです。皆、子供だったから」


今も自分はまだ子供みたいな感じだ。
あのトラウマをずっと引きずって、人に嫌われるのが怖いから皆の言うなりみたいなところがあって。


坂巻さんは私の側へ近寄ると頭を傾けてきた。
彼のサラサラな髪が私の頭に触れ、ドキッと胸が弾んだ。


「イジメられてたのか?」


どうして…と聞いてこない彼を見上げ、迷う様に言葉を選んだ。


「イジメ…と言うか、イタズラに近い感じだったと思います」


今思い返すとそうなんだろうと思う。
中学の頃は自分のことだけで精一杯で、イジメとしか捉えてなかったけど。


「…でも、それも自分が引き起こした事の所為なんです。誰かが悪いとか、そういうんじゃないんです」

「だけど、さっきの同級生は君に謝ったんだろう?」

「それは」

「何も悪いことしてないのに謝るのか?悪いことをしたから反省して謝ったんだろう?」


手を緩めない刑事みたいな言い方で、坂巻さんは私に真実を述べなさい、と言っている。


ラブレターを原田に出したことを彼に教えるべきなのかどうか。