飲み物を買ってから海岸まで戻り、ブロックの上に座り直すと、坂巻さんは黙々とノンアルコールビールを呷った。

彼はさっきからずっと私の方を振り返りもせず、ぼうっと海岸を見つめてる。

私も彼には話しかけ難く、二人でいても一人だけのような雰囲気が続いてる。


辺りはさっきよりもかなり人も増えて賑やかになっているけど、私と坂巻さんの間には冷ややかな空気しか漂ってなくて__。


(こういう感じになったのも自分の責任だとは思うけど、それを打開出来るほどの話術も持たないから……)


どうすればいいの?と彼を窺いながらヒヤヒヤする。
坂巻さんに話しかけたいとは思っても、ネタが無いと言うか思いつきもしない__。



「はぁ…」


とうとう重い溜息まで吐かれてしまった。
きっと今頃、彼は私を誘ったのは間違いだったと気づいてる筈。

私もやはり彼と此処へ来たのは失敗だったんじゃないのかな。
やっぱり最初の約束通り、理香子親子と一緒に来ていれば良かったのかも。


そしたら、あの女子グループにも会わなかったかもしれない。
会っても惨めな思いはせずに、さらっと知らん顔されたかもしれない__。