神妙そうな顔を見ていると、老けたな…と感じてしまい、ふ…と肩の力が抜けた。


「もう…いいよ…」


そう言うと、心底もういい、と思えた。
今更原田に文句を言ったところで、何かが大きく変わる訳じゃないと痛感した。


「あの頃、確かに辛かったよ。シカトされる程悪いことした覚えでもないのに、クラスメート達から無視されて」


少し恨み言のような言葉を発すると、原田は肩を落としてしまう。

表情が若干暗くなる。
きっとあの頃の原田も、私が無視されてるのを知って傷付いてたんだ。



「でもね」


私は過去にあった嬉しいことを思い出した。
それは、理香子と円香が私に言ってくれた言葉だ。


「そんな私のことを『応援する』と言ってくれた子もいたの。『杏は何も悪いことなんてしてない!』と断言してくれて、『どんなことがあっても私達は友達だし、絶対に裏切らないからね!』って笑ってくれた」


そう言われて私がどんなに勇気付けられたか。
嬉しいけど申し訳なくて、声を出して泣いてしまった。