こいつが私を好きだった?と頭の中で首を傾げ、信じられない様な気持ちで本当だろうか…と疑った。


原田は私のことを見つめたまま幾分照れていた。
十年ぶりに会った同級生に嘗ての淡い気持ちを告って、恥ずかしさもあったんだろう。



「あの後さ…」


私が物も言えずに棒立ちになってるのも構わず原田は話し続ける。
また喋りだした原田の声を聞きながら、私は頭の中が回転しなくて、ぼうっと奴の顔を見続けていた__。


「二学期になって、女子の雰囲気がクソ悪いなと感じた。他の男子達もそう言ってて、中でもあんこがシカトされてるみたいだぞ、と聞いてショックを受けた」


原田はそう言うと表情を曇らせる。
眉間に走る縦皺を見つけ、ぐっと息を詰まらせた。


「俺の所為だと思った。俺が夏休みにしたことの所為で、あんこが無視されてるんだと感じた」


ごめん!と原田はまた謝り、顔を上げると真っ直ぐ私に視線を注ぐ。

私は彼を見たまま過去にあったことを思い出して、今更だけど……と少し考えた。