そう言ってゴリ押しのように立ち去った。
このまま会場を抜け出して、家に飛んで帰りたいような気分だ。


だけど、それは絶対に出来ない。
花火が打ち上がって終わるまでは、坂巻さんの側に居ないといけない。

そうしないと駄目だ。
彼が私と行ったら楽しいかも…と言ってたから___。




(窮屈……)と思う言葉を飲み込んだ。

そんな風に思ったら彼に本当に申し訳ないと感じて、ブルブルと頭を横に振った。


その後、つい習慣のように髪を捻ろうとした。
でも、ハッとして腕を下ろし、前に向き直ったその時だ。



「あっ……ひょっとして、あんこ…?」


目の前には男性が一人立っていた。

同じようにゴミステーションに来たみたいで、私達は目を見合わせたまま立ち尽くした。


逃げ出そうにも足が動かなかった。
彼も同じ様な雰囲気で、パチパチと瞬きを繰り返していた。