「あの先輩サイテーですよ!皆の前で手紙を開いて、ニヤニヤしながら読んだんだから!」


ガンッ!とハンマーで殴られた様な痛みを感じた。
淡い期待は見事に砕け散って、その上、酷く傷つけられてしまったと知った。


「女子の先輩達が全員『ふざけんな!』と怒ってました。『何を考えてんだろう』って大声で話し合ってる人もいて」


後輩はその時の様子がとても怖かったみたいで、ブルブルと震えながら話してる。

私はそれよりも自分が彼にラブレターを出したことが皆にバレてしまい、呆然としたまま立ち尽くした。


「先輩、ごめんなさい!私が告れば?なんて言ったから…」


なんて恐れ多いことを言ってしまったんだろうと後悔してる。

私はそれよりもこの先どうしようか…と、そっちの方が心配で、二学期が来るのが急に不安になってしまった。


だけど、私は自分の名前を手紙には記していない。

そういう勇気がなかった…ということもあるけど、万一の保険として、イニシャルの…『A』だけを書いて出した。


でも、文面からして相手はすぐに私だと気づいた筈だ。