悠さんがビックリした表情で顔を上げ、ポカンと口を開けた。

そりゃそうだよね。
私が伝えたスケジュールと違うもん・・・。

「え、でも撮影は1ヶ月後だって・・・」

「少し予定が変わりまして。撮影場所は会社になりますが、カメラマンとメイクは手配できています」

有無を言わせない笑顔で、社長が悠さんの発言を遮った。
悠さんが私に視線を送っているのはわかったが、目を合わせる事ができなくて、コーヒーの乗ったトレイを見つめる。

悠さん、ごめんなさい・・・!

「小野原さんの予定がないようでしたら、このまま会社へ向かいましょう。そこで詳しいお話を」

社長が更にニッコリ笑う。
そしてトレイからコーヒーカップを取り上げ、口をつけた。

三人の間に、何とも言えない重い空気が流れる。
私は、斜め向かい側から送られる悠さんの視線から、逃げることしか出来なかった。

ものすごく困った顔をした悠さんの答えは、条件付きのイエスだった。