「違いますよ!? これからお願いしますの握手です!」

慌てて手を離して訂正するけど、悠さんの顔は耳まで真っ赤。
誠さんは慣れっこなのか、全く慌てずに落ち着いている。

「俺がお嫁ちゃん以外に手を出すと思う?」

そんな事すると思う?とでも言いたげな顔をした誠さんを見て納得したらしい悠さんは、自分を落ち着かせるように息をはき、私と誠さんの間にある机にトレイを置いた。

「すみません・・・」

小さい声で言いながら、私の前にコーヒーの入ったカップとソーサーを置いてくれた。

「悠、砂糖とミルクは?」

悠さんの声に重なるように、誠さんが問う。悠さんはあっという顔をして、また奥へと慌てて引っ込んだ。
それを見送りながら、誠さんはふふっと声を漏らす。

「ほらね、いろいろ大変だよ?」

・・・うん、そんな気がします。