「さっきから、蓮見さんってばすっかり人事みたいに言ってくれますけど、私が好きなのは蓮見さんです」


蓮見さんが好きだから、


こうしてドキドキするし、ワクワクするし、嬉しくなったり、悲しくなったり、浮かれたり落ち込んだり、私の心は忙しいんです。



「誰でもいいわけじゃなくって、蓮見さんだから好きだし。蓮見さんだから会いたいって思うし、平気な顔してますけど今も本当はずっとドキドキしてるんです」



電車の揺れに合わせて、トン──とぶつかる蓮見さんの肩にハッと息を呑むくらい。


ついこの間までこうして蓮見さんと出かけられる日なんて永遠に来ないかもしれないと思っていた私にとって、今日は奇跡の日だと思えるくらい。


真剣に蓮見さんが好きです。



「なら、」


「へ……?」


「俺でいいんじゃねーの」



言っていることの意味を理解出来ずに、ふと横を見上げれば同じく私を見下ろす蓮見さんと至近距離で目が合う。


「え?」


「俺と付き合うか?」


「……えぇ!?」



ちょ、あ!あれか?これもポリスメンジョークか!?
ここで素直に頷いたら『本気にすんなよ』って言われるやつか!?それともなんだ、夢オチか?


蓮見さんと映画見た下りから全部夢でした〜ってやつか!?



「……つっても、警察官は忙しいぞ」


「あの蓮見さ、」


「……それでもいい?」



……それでもいい?って、それでもいい?って!!!そんな小首傾げながらこんな時ばっかり可愛く聞いてこないで下さい。


いいに決まってるじゃん!どこにダメな要素があるのか分からない!むしろ、いいの?


え、なにこれ、もう電車の中で腹踊りしてもいいですか!?