たった5分。
1人でも短いその道のりは、蓮見さんと一緒だとほんの一瞬のことのように思えてしまう。


足りない。足りない足りない全然足りない。
蓮見さん不足で窒息しそう。



「蓮見さん」


「あ?」


「足りないです」


「知るか」



やっぱり蓮見さんはツレないけれど、それでもこうしてちゃんと私の言葉に返事をくれる。ストーカーとか言いながら、ちゃんと心配して私を送ってくれる。


"来るな"とは言うけれど、私を"迷惑だ"と言う言い方はしないでくれる。


蓮見さんが大人なだけかもしれないけれど、そんな些細なことにさえ蓮見さんの優しさを感じてしまう私は、



「蓮見さんが欲しいです」


「……」


「ミニチュアでもいいので」


「……ったく、本当にお前って頭おかしいよな。ミニチュア蓮見くんに何する気だよ。怖くて仕方ねぇ」


「もちろん、ミニチュアなんかより、本物の蓮見さんならもっと嬉しいですけど。今日、私が寝るまででいいので後から抱きしめてて貰えます?」



私が蓮見さんに投げかける言葉の6割は冗談で、4割は本気だったりする。頭の中で本当に思ってることを、冗談テイストで伝える。


それを蓮見さんも分かってくれているから、安心して言葉を投げつけられるのだけれど。


こんな私に、近々蓮見さんが愛想を尽かしてしまわないか正直不安に思っている。



「アホか。そんなシチュエーション、抱きしめるだけで終わらす自信ねーよ」



「……え?」



「早く寝ろ、俺は戻って寝る」




え、いや。
…………え???



抱きしめるだけで終わらす自信がないって……それってつまり?どういう意味?