ーーー3時間目。
3時間目は化学だった。
あまり得意な科目とは言えないが、幸いにも軽い実験のようだと安心したのも束の間だった。
実験自体は簡単だったのだが、火を扱う物であり失敗して手首に軽い火傷を負ってしまう。
すると、急に腕を引かれた。
顔を上げると、そこには焦ったような顔をしている魁先輩が居た。
「せ、先輩」
「怪我したんですか?急いで手当てしないと・・・」
「おい!魁トオル!お前・・・何で居るんだ!」
先生の声に思わず肩がビクついてしまう。
すると、先輩は不機嫌そうな表情で先生を見ると低い声で言い放った?
「それよりも、怪我した人が優先じゃありませんか?心配しなくても、ちゃんと授業は終わらせて来ましたから。・・・桃園さん、行きますよ」
「魁トオル!勝手な事を・・・って、居ないか」
強引に腕を引かれて私は理科室を出た。
大丈夫だと言ったのだが、先輩は心配で授業に集中出来ないからと聞いてくれそうにも無かった。
保健室に行こうとしたので大袈裟だと言うと、だったら冷やしていて下さい、と結局、保健室に連れて行かれた。
保健室には先生が居らずに先輩は氷をタオルで包むと火傷の場所に優しく当ててくれた。
「あ、ありがとうございます」
「心配しましたよ。」
「ごめんなさい、迷惑ばかりかけて・・・」
「・・・そんな所も可愛いですけどね」
また、呟くような声を聞き取れずに首を傾げていると先輩は火傷していない方の手をゆっくりと握った。
「桃園さん・・・図書室での事なんですが・・・・・・っ!」
先輩が何かを伝えようとしているのはわかったが、保健室のドアが開いて先生が入って来て話が途切れてしまう。
私は先生に手当てをしてもらい、先輩に教室まで送ってもらった。
先輩・・・何を言おうとしてたんだろう?

