地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密


自分の頭より少し高いところに、腕があった。

顔を上げると、暗く影になったマオの顔が、私を見下ろしていた。

「梨衣子さん。あなたには脳内に機械が取り付けられておりません。下手に動くと城内の認証機が作動して、電流が流れます」

脅し…か。
初めてされた壁ドンとやらは、別の意味で激しく脈を打っていた。

「…お願いします。我々にはオオソラ様が必要なのです。オオソラ様を生き返らせることができるのは、あなたしかいないのです」

本当は、自分だってこんなことしたくない。というように、苦しそうな表情だった。

そんなにオオソラさんが大切で、なんの関係もない私を犠牲にすることは容易いんだ。

……人間なんて、所詮そんなものか。

「私に、メリットはあるの?タダで死ねなんて、随分と虫のいい話ね」

私は絶対に死なない。
受け入れたフリでもして、元の世界に帰ってやる。

「……オオソラ様の魂を移植するのは、死後49日後。つまりあと40日です。その間、最高の日常をお与えします」

「あっそ。じゃあよろしく」

最高の日常ってなんだ。
未来人は頭がおかしいみたい。
最期の思い出作りを、精々楽しませてくださいな。


そう思いながら、私たちは、眠り姫のいる部屋からそっと退出した。