「ねぇ、ここって本当に未来なの?本当に地球じゃないの?」

素朴な疑問が浮かんだ。

だって、地には草木が芽吹いているし、太陽もちゃんと宙に浮かんでる。
息も吸えているということは、酸素もあるってことだし…。

空を飛んでいるのも、この雲に似せた乗り物だけで、よくアニメで見るような空を自由に飛ぶ、モダンな乗り物などはない。

近代的になど見えない。
逆に古風になったというか…。
昔に戻ったかのように綺麗な草原が広がっている。

「地球じゃありませんよ。ここは〝プロテクト〟と言う人工星です」

「プロテクト?」

「はい。プロテクトとは、『守る』や『保護する』という意味があります」

「へえ」

「数万年ほど前、世界の中心となっていたアメリカ合衆国やその他多数の国々は戦争を繰り返していました。

ですが日本という国は参戦せず、逆に戦場に戦時品を売るなどして大儲けをしていました。

更に日本は平和な国づくりをしていたので、技術の発展はうなぎのぼりでした。

そんな時、ある日本の研究グループは太陽の消滅は目前であることを見いだしたのです。

そうして、日本を中心として専門家や研究者、ロボットや高性能機械により、人工地球を生み出そうとしました。

その頃の人々は、既に宇宙の四割をも理解していましたので、どこにつくるのが安全か、など分かりきっていました。

そうして、地球からは、遥か遠く、何万光年をも離れた所に人工地球と人工太陽をつくりはじめました」