桜はもう綺麗に散った。

その代わりとして、青々とした葉が古めかしい校舎を包む。

私は何食わぬ顔で、そんな学校の門をくぐった。


「…高畑ぁぁあ!!なんだその髪はぁ!!」

後ろからいきなり怒鳴り声を上げてきたのは、見事に散った玉のような頭の持ち主。

まあそれは、私の担任でもあるのだけれど。

「なんですか?校則に『髪を染めてはいけない』なんて書いてませんよ?」

堂々たる姿勢で、鎖骨まである金色の髪を耳にかけた。

「…こ、この学校が優秀だから、そんなこと書かなくてもわかると思って書いてないだけだ!」

負けじと私に向かって指をさす人は、歳のせいか、それとも元からなのか、私よりも背が低い。

醜い哀れな姿としか思えなくて、生徒でありながら上から物を言った。

「あー、じゃあ私の成績が下がってから言ってください」

なっ、という声が聞こえたが、そのままスルーして教室へと向かった。


さっきの男が言った通り、私の学校はかなりの秀才が集まる真面目な公立高校。

髪の毛は真っ黒。

膝下まであるスカートの丈。

ボタンは一番上か、苦しい人は二番目までしか開けない。

これら全て、生徒たち自らがとっている行動。