もうほとんど桜の散ってしまった通学路。 あたしたちの他にも、同じ制服を着た高校生が楽しそうにはしゃぎながら歩いている。 住宅街の向こう側に校舎が見えてきた。 そんなときだった。 「おはようー!」 「……?」 後ろからそう声がして見てみるけど、立っていたのは知らない女の子で。背中の中盤でまっすぐに揃えられた茶色の髪に、垂れ目に引いたアイラインが印象的な女の子。 誰だろう……人違いかな? と思ったけど、彼女の視線は悠斗に向いている。 「ああ、おはよ」 悠斗がそう返事をする。