「ほら、姫花も」
「ありがと!」
きっと、近くの自販機かなにかで買ってきてくれたんだろう。あたしにはオレンジジュース、姫花にはいちごミルクを渡した悠斗は、缶コーヒーのタブを開けるとゴクリと飲んだ。
「ユウ、よくコーヒーなんて飲めるよね……苦くないの?」
「はは、姫花にこのおいしさがわかるのは10年くらいあとかな」
「失礼な! あたしだって今日から高校生なんだよ」
「そうやってムキになるとこがガキっぽいんだよ、姫花は」
そんなふたりのやりとりを、ふふっと笑いながら見る。
「……あ。もうすぐ式の時間よ」
チラリと時計を確認すると、あと20分くらいで式が始まる時間になっていた。
