学校ってなにをするの? もうひらがなって習った?



そう嬉しそうに聞く姫花に、あたしと悠斗は背負ったランドセルから教科書を出して姫花に見せてあげた。



『ねえねえ、姫花も書けるかな? ひらがな! 自分の名前!』



『えっとね、ひらがなのドリルは……これ!』



あたしは姫花にひらがなのドリルの「ひ」のページを開いて見せてあげる。



姫花は紙と水色の筆箱をもってきて、鉛筆を出すと紙にドリルをまねてひらがなを書いていた。



姫花はあまり勉強が得意ではないみたいで、「ひめか」と自分の名前をひらがなで書くのが難しいと言って何度も練習していた。



あたしがお手本を見せると「すごい!」と目をキラキラと輝かせるのがかわいらしかった。



やがて、やっと姫花が自分の名前を書けるようになった頃、あたしと悠斗はすっかり姫花の明るさに魅せられていて。



また明日も来るね、なんて言って帰った。