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小学1年生だったあたしと悠斗は、家が近いのと両親が共働きという接点もあって自然と一緒に帰るようになっていた。
小さい頃から人見知りでクラスになじめなかったあたしは、同じような性格の悠斗と話が合うことに気づいてからは常にふたりでいるようになった。
『悠斗くん、それなんの本?』
『昔の人の話だよ。エジソンっていう偉い人がいて……』
悠斗がしてくれる話はいつも楽しくて少し難しくて、大人っぽくて魅力的だった。
そんなあたしたちのクラスにひとり、入学式の日から1回も学校に来ていない女の子がいた。
高嶺姫花。
体が弱くて入学式の前の日に体調を崩してからまだ学校に来られていないのだと担任の先生から聞いたときは、純粋にかわいそうだと思ったし心配になった。
そんなあたしに、先生はあることを頼んだ。
