「……姫花!」 「あ、悠斗」 ちょうどそんなときだった。 片手に水のペットボトルを持った悠斗がこちらに向かって軽く走ってくるのが見えた。 「ほら、水。姫花、薬もってるだろ? 飲めよ」 「あ、うん……ありがと」 昔から体が弱い姫花は、体調が悪くなったときにすぐに飲めるように頓服を常備している。 悠斗が走ってどこか行ったの、水を買うためだったんだ。 姫花が鞄から薬を出して、慣れた手つきで口に含んでごくりと飲む。 それから、10分くらい経ったときだった。