「……姫花、大丈夫か? しんどい?」
悠斗も気づいたのか、姫花の顔を覗きこんでそう小さく聞く。
けど、姫花はふるふると首を横に振った。
「大丈夫だよ! ごめんね、いっぱいあたしの行きたいとこついてきてもらって……次はみんなの行きたいとこ行こう」
そう言う姫花だけど、マイペースで行き先を決められないあたしと悠斗を気遣って色んな場所に連れていってくれたんだということはわかってる。
姫花は昔からそういうふうに気を遣うところがあった。
「大丈夫よ、あたしも悠斗も姫花が楽しそうなの見てるのが好きだから。もう日も暮れそうだし、そろそろ帰りましょ」
「……うん、ごめん」
じゃあ行こうか、と席を立つ。
けれど。
