「ちょっと話があるんだけど」



「……あたしに?」



言われて驚く。篠原さんみたいな目立つ子があたしなんかになんの用だろう……。



構えていると、篠原さんのうしろから「……あの、」とおずおずとした様子で女の子が現れた。



「ほら、(あかね)。雨宮さんに言いたいことがあるんでしょ、はっきり言いなさいよ」



茜と呼ばれた女の子は、たしか長瀬(ながせ)さん。小さな動物を思わせるかわいらしい容姿をしていて、いつも篠原さんといっしょにいる。



「で、でも……」



長瀬さんが篠原さんとあたしを交互に見て、首を振る。



きっとあたしになにか言いたいことがあるんだろう。



でも、なにを……?