「さて、もう私の名前はご存知でしょうから省きますが……貴女は何とお呼びしたら良いのですか?」
「え?あ、はい!えーと……さ、貞子で……」
「……は?」
「貞子です!さぁだぁこっ!」
「あの……テレビから出て来た人ですか?」
「ち、違います!」
あぅ……だって仕方ないんです。人間に本当の名前を教えてしまうと、もし岸本さんが亡くなった時に私が案内役を勤める事になりますと、色々問題が起こって……そうなると閻魔様からお尻開発……あ、いえ、百叩きの刑があるもので。
しょぼんなのです。
「では貞子さん。貴女がここに来た理由はなんですか?」
「え……」
「警察に来る幽霊なんて珍しいですからね。人は亡くなっても警察は苦手という意識を持ったままの方が沢山いらっしゃるもので」
あ、う……今更ですがなんとなくこの人苦手です。


