「本来ならコーヒーでもどうぞ……と薦めるところですが、どうやら無理そうですね」

 うぅ……岸本さんの持ってるコーヒーの匂いで何故かお腹がぐぅぐぅ言ってます。考えてみたらここに来てから何も食べてないんですよね……
 はぅ、人間に変身したらマックとかケンタッキーとか……あぁ、ミスドも捨て難いですね。あのモチモチとした食感が……

「よだれ……垂れてますよ。そんなに欲しいんですか?」
「あ、あぅ……す、すみません、大丈夫です。決してマックが食べたいとか――」
「全て声に出してくれてたので聞こえてましたよ。おかしな幽霊さんだ」

 なんか……不思議な方です。私を見て驚くより、私という存在を当たり前に認めている……という人間は本当に珍しいんです。
 幽霊を見たら何でもかんでも『祟りじゃあー!』という人より、よっぽどマシですね。うん、私、死神ですけど。