「正確には生島穣の体を乗っ取った悪魔が胸を掻きむしった……というべきでしょうか」
「おいおい、その悪魔はなんでもありって事か?」
「いいえ、悪魔が出来る事は『憎悪を持つ人間を殺す』事だけです。大なり小なり関係なく……ですね」
もし岸本さんの話が真実だとしたら、聡坊さんも何かの憎悪……えと、怨みを持っていたという事になります……よね。
――あ、そういえばマサオさんの話によれば聡坊さんは虐められていたと……
「胸を掻きむしって何をしてたんだ?」
「喰らってたんですよ……怨みを持つ人間の『心臓』を」
「馬鹿なっ!鑑識ではそんな事は一度も――」
「何も本当に喰らう訳ではありません。心臓の鼓動を強制的に止めさせ、その苦しみ、怒り、悲しみを喰らうのです」
分かりやすく言いますと人間の魂――という事になりますね。
もしかして皆さんの魂が出ないのも……


