ロマンシア「とにかく」

「私の住んでるアパートが近くにあるから
このまま着いて着なさい」



俺 「は・・・い」 

   
   凉子は雪が積もった道を
ビシャビシャと音を立てて、軽自動車で去った
     


俺 「あれ?」

「こっちの道に行くと、俺が住んでる町内になるな」


ロマンシア「あそこを左へ...

...曲がると、木造アパートが

そこにアタシが住んでる部屋があります」




俺 「アイナは?」

「アイナは今何処に住んでいますか?」

・・・・・・・・・


俺「あと、」

「アイナが家を出た理由は何でですか?
まさか

結婚したとか?」






ロマンシア 「・・・・・・・」

 




    







 沈黙が続いた















ロマンシア「アイナも..


やっぱり結婚したかったのかねぇ・・」

「あの子は男運が本当になくてね・・・
いや・・・
正確に言うと、
中学3年生のある時期から 

「男運だけじゃなく・・・・」



   


男運だけじゃなくなんだ?

俺は心の中で、
母であるロマンシアさんに問い詰めていた






ロマンシア「学力も、運動神経も」

「あの子の全ての生命力が、
みるみる落ちていった」












 









そして、アパートの1階「103号室」
 
二人は足を止めた




俺「中学3年のある時期・・・・・?」












俺 「ロマンシアさん! 

「実は アイナが大切にしていた リボ・・」

   俺の言葉はすぐに遮られた

ロマンシア「赤のリボンだよね? 
分かってますよ だから会いに来たのよ」

    へ?

ロマンシア「昨日、
君の中学時代の同級生から電話が来て、

君がアイナの居場所を探してるみたいだって
で、何となく
察して・・・
「リボンの事かな・・・とね」 


  ロマンシアさんは、
  103号室の玄関の扉に手をかざした





   











ロマンシア 「さぁネズ君 

      「お入り」


 俺はアイナに対しての罪悪感で
 冷たくなった心に 
 暖かい光が照らした
 
 






 ロマンシアさんの目線の先には、
 確かにアイナが居た
 




 



 俺ではなく、
 遠くで生きているアイナが居た
  

 そんな気がしたのだ。