「日差しがまぶしい......」























俺は、学園の保健室のベッドの上で目が覚めた




俺の身体は至って軽快で、
今朝までの激しい悪寒が嘘のようだ















辺りを見ると、
森先生が遠くのデスクで俺の顔色を伺っていた

そして、

ドアの外から
ジャンプも遠目で俺を見守っている














森先生 

    「ネズ君!
    大分熱下がったわね!
    良かった良かった!」


    一時は熱が
    40度まで上がってたんだよ?

    本当に心配したよ・・・・」



    
 俺「すみません・・・・・」
 
  
森先生

   「でも、
   今午後の13時でしょ? 

   たった2~3時間でこんなに回復するんて

   あんた、超人かなにかかい?(笑)」









・・・・・・・・俺は唖然とした







































保健室の窓の外を見ると
校庭では後輩達が、
楽しそうにサッカーボールを蹴っている

てか、
サッカーボールで
バスケをやったりする奴もいたり
低学年はほんと自由だよなぁ・・・・


 校庭の更に奥には
 完全に過疎化した砂場がある 
 この砂場は本来、
 陸上部が使用している砂場なのだが、
 我が学園には事実上陸上部がない
  (というより部員がいないのだ)



しかし、そんな砂場に
キラキラ光る姿があった 














それは・・・































   「銀河アイナ?!」





 







 「あいつ・・・・
  今日は
  体調悪くて学校休んだんじゃないのか?
  やっぱ仮病だったか・・・?」


 






  
アイナは 
デパートの屋上で披露する踊りの練習をしていた

   
 











   「アイナ・・・・・?」



  



   アイナの頭にはあのリボンは無かった

 



   だが、
   アイナは楽しそうに踊っている
   
 


   そして、
   「楽しんでいる」のだ












森先生

   「アイナさんは、もう大丈夫ね」

 
   「リボンを失くしたって時は
   一時はパニックになって
   保健室に通い詰めになってたけど

  「リボンがなくても、自分はもう大丈夫!」
 
  「ようやくそう思えるようになったのね!」 
  




















だが・・・・



俺は心配だった 

本当にリボンが無くて大丈夫なのか・・・

アイナは一人で
ステージに立てるのだろうか・・・  
そして、アイナの夢や、生きて行く希望は?  



 俺は漠然とした不安でアイナを見つめた・・・・

 だが、
 
 




 俺の心配はすぐにかき消されたのだった















一人ぼっちで練習をしていた
アイナのすぐ傍(そば)に、
「涼子」さんが
ニコニコした笑顔で寄り添い、
一緒に練習を始めた








    そして、

 




  



 「アイナ先輩~!」




いつも以上に軽快な「田口君」も、
アイナに合流し、
楽しそうに一緒に踊りの練習を始めた








校庭でサッカーボールを蹴っていた後輩達も、
アイナ達の楽しそうな雰囲気に魅了されていた
    

  

俺と森先生、そしてジャンプは
保健室の窓から

銀河アイナ 

そして

涼子さん 田口君のステージを
黙って見守っていた


    
俺はアイナを見つめながら、
 
  
      ある決意をした







  それは


















「無事に中学を卒業する事」

   そして

「無事に地元の高校に進学する事」







    そして









   「自分の夢をまた思い出す事」 
    


 










 















  夢は叶わなくてもいいのだ
  
  夢を持つ事で
  救われる人がいるのであれば
    












   それは「素敵」な事じゃないか




    
  

 















 



俺は保健室の窓を全開にし、
身を乗り出し、アイナの元へと走り出した



        

森先生  「ワタシを置いてくなぁー!」
ジャンプ 「俺を置いてく気か!」    
    






  俺「早く着いてこいよ! 
  
   

    アイナが待ってるぞ!」 

























 
 俺達は校庭に集まった
 皆がアイナの元へ駆け寄って行く中
 
 俺だけはふと、
 学園の屋上を見上げたまま立ち止まっていた
 
 
 俺は
 学園の屋上に大きく手を振った
 
 そして、
 

 


      アイナの元へ走った!
  
 
  

 






















  



 中学3年
 
 俺たちは、まだ見ぬ未来と漠然とした不安から
 常に何か生きる手掛かりを探していた
 
 「生まれてきた意味」
 そして、
 「生きている意味」  

 その答えは誰にも解らない

 だが、
 答えは無くてもいいのかもしれない





























銀河アイナ 

  「自分が生まれてきた事で、
   誰かが救われるのであれば」
   
  「最後まで生きてみたい」
   
 






    
       



         









 





 「うつむいているくらいなら...」







 
「うん!」

「最後まで踊りたい」





















 「いつまでも夜空を照らす星になりたい」
 「私達は銀河と共に」 







































       
             完



            ©Kimano 2018