パラ…パラ…
ほんの捲れる音が静かな病室に響く。
途端、ガラガラと音を立てて病室のドアが開いた。
看護師の方が笑顔でおはようございますと言いながら入ってきた。
病室に置いてある本の整理をしながらこれ面白そうね、
何冊か積み重なった本を手に取りつぶやく。
ある程度部屋の整理をしてから彼女は振り返って
「水無瀬さんおはよう。もう夏ねぇ、どう最近。」
どうもこうもない…。
病室でただ毎日本と向かい合って過ごす日々なのだ。
手にある読みかけていた本にしおりを挟まずに閉じた。
水無瀬と呼ばれた少女はゆっくりと顔上げ、変わりないですと告げた。
