立ち上がらせられ顔を上げると、そこには不機嫌そうな顔した先輩か居た。
「え・・・せ、先輩?」
「・・・」
強く腕を握られ困っていると先輩は私の腕を引いて休憩室へと足を向けて歩き出した。
***
誰と・・・話しているんだ。
この言葉が頭の中で急に回転した。彼女の方を見ると、親しげに男と話しており無性に苛立ちが募っていった。
俺の気持ちにも気付かないで呑気な事にほかの男と話すなんて・・・・・・。
黒いものが胸の奥で大きくなり気付けば彼女の腕を引いて休憩室へと足を向けてしまっていた。
休憩室に入り心配そうな表情の彼女を壁に押し付けて強引に唇を奪った。
抵抗する彼女の腕を押さえ付け貪るような口付けを続けると、彼女は息苦しいと言う意思表示か俺の胸辺りをドンドンと叩いた。
ゆっくりと顔を離して彼女の顔を見ると、そこには・・・
***
ただ、怒っている事は分かった。
唇が未だに熱いのは何でだろうと意外に冷静に色々と考えていた。
先輩は何でこんな事をしたのか。
なのに不思議と嫌ではなくて、むしろ嬉しかった。
もちろん、苦しかったけど先輩にキスされた事が嬉しくて思わず先輩に抱き着いてしまっていた。
「お、おい・・・」
「好きです、先輩。上司としてとかじゃなくて、本気で好きなんです」
「っ・・・それは、俺の台詞だ。お前が他の男と話しているのを見てイラついて、こんな事をしたんだ。悪かった。」
「先輩・・・」
「狂いそうなくらいにお前が好きだ。これからは遠慮しないから、覚悟するんだな」
「! は、はい!」
ギュッと強く抱き締められ気付けば、もう一度、唇を触れ合わせていた。
今度は優しいキスに心の奥が暖かくなった。
でも・・・先輩って、あんな性格だったかな?感情に任せて動くよう人じゃないのに・・・
そんな事を考えながら、ゆっくりと目を閉じた。