「え、本当にいいの?」


「うん。」





紗代ちゃんと何回か連絡して小谷さんに会えるようにしてもらった。

と言うのもマルクに来ただけだが。





「そう言えば、翔平くんって第二外国語なに?」


「中国語」


「へぇ。すごいねっ」


「俊は韓国語だよ」


「ふーん」




お互いに興味があるのかないのか微妙な話題しかない。




少しして何人かの女の人がこちらに来る

その中に彼女もいた。







目が合うと僕はにやけ顔で彼女は微笑んで会釈した。






「お久しぶりです」





彼女から声をかけてくれるなんて。この上ない嬉しさだ。





「好きです」





突拍子もなく出た言葉。






その僕の言葉に彼女は顔を赤くした。
白い肌が余計に目立たせる。






「翔平くん。どうしたの?」





紗代ちゃんの声でようやく焦りだした。






「あ、いや。俺っ」


「ありがとう」




か細い彼女の声は、僕を余計に焦らせた。




「俺、佳奈さんが好きです。」




今の状態じゃ、これしか出ないのか。
馬鹿みたいに告白した。






「ごめん。私」


「いきなりであれっすけど。俺、本気です」




他にも人がいるのに。勝手にふたりだけの空間だと思い込んでいた。





「良かったら、デート。してくれませんか」





不器用なりの本気。

弱気に逃げた告白。






頼むから一回だけでも。







「もうっ、翔平たらっ!」


「ぇ」




急に腕を絡めてきた紗代ちゃんは
まるで彼女かのように上目遣いで僕を覗いた。





「佳奈先輩困っちゃうよ?冗談でも程があるよ」


「冗談じゃ」


「翔平、ごめんって。私に嫉妬して欲しかったんだよね?」


「は?」


「でもさぁ。佳奈先輩じゃ逆効果だよぉ。」




下を向く彼女に目線で否定することは出来なかった。紗代ちゃんに流されてしまう。

周りに少し馬鹿にするような笑いがおこった。




「太ってる佳奈先輩は、女子じゃないもん」




小学生かっ。

そんなツッコミより先に紗代ちゃんへの軽蔑心が出た。






「俺、マジでそーゆーの無理」




彼女は僕にとって特別なんだ。
何が太ってるだ。少しふかよかかもしれないが、僕はそれも含めて、好きなんだ。

あの時感じた甘い毒に中毒なんだ。





「暑い」


「翔、平、、くん」





無理やり解いた腕。
もう1回ちゃんと、伝えよう。


なのに、なんでかな。