「でも、まぁ。お前も罪な男だよな」
「なんだよ。急に」
「部活の引退式の時。後輩ちゃんから告られてんの見たぞ」
「あー。」
「振ったんだって?」
「まぁ。つか、当たりめーだろ」
「なんだかなぁ。顔が良いからってモテてさ、中身は妄想変態男子なのによー」
「あ?、、、つか。受験生に告るとか。そんな余裕ねーよ」
「そうだったな。空想彼女とのイチャイチャで忙しいんでした」
「だからっ」
部活が一緒と言うだけで他に接点のない後輩からの告白は、迷惑でしかなかった。
それを羨ましそうに、嫌味を付ける原田 優 (はらだ まさる)。彼は隣のクラスで、唯一あの彼女のことを知ってる。
「しかもよ、振り方までかっこいいとか。」
「はぁ?そんな、大したこと言ってねーよ。」
「理由が受験ならまだしも、なんだよ。好きな人がいるって」
「正直に言ったまで。」
「逆に好感度上がってるっつーの。チャラそうなお前が一途とか。、、ねーわ」
半笑いの優は、追い打ちをかけるように僕を馬鹿にする。
「自分がどのクライなのか、自覚しろよ。じゃねーと、前みたいに女泣かせることになっかっんな。」
「大丈夫だよ。今回は本気だし。」
優がそう言うのも無理ない。
高2までの僕は酷いという言葉が似合う事をしていた。
単純な好奇心というか、周りの変化に流されてたというか。
告られては付き合って。ただ、彼女がいればいいと中途半端な感じで失敗して。
別れを切り出されてもそれほどダメージはなかった。
自覚はなかったが、優が言うには
『本気じゃねーからダメなんだよ。いつか女で泣くぞ』
本気で好きになったことがないからだと。
悔しいが、今の僕は、その本気の”好き”を気づいてしまったらしい。
少なくとも、空想彼女という形で。