あの日から進路は一択だ。





「他の大学も、行けるんじゃないか?」





担任の先生は僕の進路にこう言った。


私立高校だから、進路に積極的で少しでも上を目指す。確かにその理由もあるが、僕はその大学の基本中の基本である英語が得意というわけでもなかった。








「俺、ここしか行きたくないんすよ」



「確かにな、この大学はすごくいい大学だ。卒業生も楽しいと言っていたし。就職も希望通りになったと報告があったしな。」



「本っ当に頑張るんで、信じてくださいよ」



「んー。お前ならやれるとは思うが。模試とか見ると、数学、歴史が強いんだよな。英語は1番」



「1番悪いかもっすけど。俺、めっちゃ魅力感じたんすよ。他の大学も見学したけど、パッとしなくて」








英語を1番得意科目として入ったこの高校。余裕ぶっこいて苦手ではないが、あまり良くない結果を残すようになってしまった。




ただ、男子というものは追い込みがきく。
それを実感したのは2ヶ月後の模試だった。





良い結果を残せた。それを見て先生も安心したのか、進路が完全に決まった。








「おい、翔。またにやけてっぞ」






ただ、その努力もあの時の彼女があってこそだった。
たまに友人から、にやけてる。と言われてしまう。

それはたまに思い出して、またの再会を妄想するからだ。




「うっせぇな。」


「あれか、空想彼女。」


「空想じゃねーよ。つか、彼女じゃねーし」


「はぁ、胸が痛むわ。勉強しすぎでおかしくなったか」


「なってねーよ」







妄想の中身はそうだが、彼女自体は存在する綺麗な人なんだ。
それに対して同情されてもな。

夢見て、現実真逆でも。後悔はしないだろう。




そう、思うのは彼女が僕の理想そのままだと思い込んでるから。